王妃の予言

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「私は 『永遠』 という意味を込めて、皇子にヨンウォンと名付けました。それは、現在、過去、未来と言った時空にとらわれることなく、多くの人を愛し、愛され、真っ直ぐに生きていってほしいという願いを込めてです。 私の予見では、これからヨンウォンには数々の試練が待ち受けていることでしょう。 それに屈することなく真っ直ぐに生きていれば、いつかきっとヨンウォンの前に、偽りのない真実の心を持った女人が現れるはずです。そしてヨンウォンがその女人と縁を繋ぐことができ、お互いに心を通じ合わせることができれば、この国はさらに幸せを導く力を得ることができるはずです。このようなお話をボクシム先生にお伝えしたのには、理由がございます。私には昔から予見する能力が備わっているようです」 「予見する能力?」 「はい。未来のことを予見する能力です。私の体調が思わしくないのも、決してヨンウォンを産んだせいではなく、おそらくこの予見する能力を持っているためだと思われます。私はもうすぐこの世界から消えてしまいます。もう命もそんなには長くないでしょう」 「お、王妃様、決してそのようなことは…」 ボクシムは驚いて首を大きく左右に振った。 「ですのでボクシム先生、この国のためにもヨンウォンがその女人に出逢えたときは、どうか力を貸していただきたいのです」 「王妃様、そのお話が本当だと致しまして、力を貸すと言われましても、私にはその女人がどんな女人なのかわかりません」 王妃はボクシムに、にっこりととても柔らかい笑顔を向けて頷いた。 「はい。私にも今はどのような女人かよくわかりません。ですが近い将来、ヨンウォンは自分と縁を繋ぐことができる女人を引き寄せると思います。おそらくボクシム先生にはお分かりになられるはずです。その女人は証を持っているはずですから」 「証…ですか…?」 「はい。証を持っているはずです」 「王妃様、証を持っているとおっしゃられましても、どうわかるのでしょうか? 証を持っている方が何人もいらっしゃったらどうするのですか」 「ボクシム先生は必ずひとりの女人を確信されるはずです」 「…………」 ボクシムはなんと答えてよいか分からず、返事をすることができなかった。
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