繋がる証

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(こんなにボクシム先生やミランさんに心配かけてしまって、ほんとに申し訳ないな…) そんなことを思っていると。 「実桜、少し私の書斎に来てもらってもよいかな?」 ボクシム先生が真剣な顔をして私の方を見た。 「は、はい。わかりました」 いつになく真剣なボクシム先生の表情に、何の話なのか少し不安になる。 「ミラン、少し書斎で実桜と話をする」 ボクシム先生はそう言って立ち上がると、私を連れて書斎へと向かった。 ボクシム先生の書斎に入ると、ボクシム先生は自分の定位置に座り、目の前の座布団に手のひらを向けて私に座るように促した。 そして柔らかい笑みを浮かべて微笑むと、 「実桜、いくつか聞きたいことがあるのじゃが」 と、私の顔を窺うように見つめた。 「ボクシム先生、何でしょうか?」 「このシンファの国に来る前の話なのじゃが」 「ここに来る前のお話ですか?」 「ああ、そうじゃ。実桜はこのシンファの国に来る前に2人の男女を見たと言っておったな。それはどのような男女であったのじゃ? そのときのことをもう少し詳しく私に教えてくれぬか?」 「あのときの2人のことですね」 私はその時のことを思い出すように少し黒目を上に動かしたあと、苦笑いを浮かべてボクシム先生に告げた。 「ボクシム先生、あの時の男の人って実はヨンウォン皇子様だったんです」 「なに? ヨンウォン皇子様? どういうことじゃ?」 ボクシム先生は驚いたように目を見開いて私に聞き返した。 「はい。私、あの日、神社の本殿の裏にある桜の花を見ていたんです。そしたらヨンウォン皇子様が琴を弾いてらっしゃって、その横に可愛らしい女の人が皇子様の弾かれる琴を聴いてらっしゃいました。 そしたらお2人の会話が聞こえてきまして、女の人は皇子様のことが好きみたいでしたが、皇子様は冷たく断られていました。そんなお2人の会話を聞いていたら、ヨンウォン皇子様に見つかってしまったんです。 そして皇子様に睨まれて、怖くて身体が動かなくなってしまって、気づいたら気を失っていました。そして目が覚めたら、私がいた神社ではなくて、ボクシム先生のお屋敷の中でした」 ボクシム先生は口を開くことなく、無言で静かに頷きながら聞いている。
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