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「ボクシム先生、もしかしたらこの方はこの辺りの人ではないのかもしれないですね」
その男性はおじいさんにそう告げると、腕を組み片手を顎につけて何か考えているようだ。
「私もそう思う。おそらく異国の女人であろう」
いっ、異国?
この人たち何を言ってるんだろう。
変な貴族衣装を着た人たちに、見たこともない屋敷。
そして目の前にいる2人に異国の人だと言われ、不安がどんどん広がっていく。
「あっ、あの、もう一度お聞きしますが、ここは桜守神社ではないんですか?」
「違いますよ。ここはボクシム先生のお屋敷ですよ」
「ぼっ、ボクシム先生のお屋敷? 桜守神社じゃないの? じゃあここの住所は? 町の名前は何ていうんですか?」
「ここはシンファという国のヨンジュという都です」
「しっ、シンファ? ヨンジュ?」
今度は逆に私の方が首をかしげて聞き返した。
「はいシンファです。シンファを知らないとなると、やはり異国の方ですね」
イケメンの男性は静かに頷きながら穏やかな口調で答えた。
どういうこと?
日本にシンファとかヨンジュっていう場所どこかにあったっけ?
あっ、そういえばこの人、今、シンファっていう国って言ったよね?
私は恐る恐る口を開いた。
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