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「すみません…」
「いや、よいのじゃ。それと実桜、あともうひとつ聞いてもよいか?」
「はい」
「実桜はヨンウォン皇子様のことをどう思っておるのじゃ?」
またしても予期しない質問に、私は再びびっくりして目を丸くしながらボクシム先生の顔を見つめた。
「皇子様があのように長い間実桜を自分の部屋で療養させるということは、おそらく皇子様は実桜に好意を抱いていることは確かであろう。それで実桜はどうなのだ?」
「私は…」
「皇子様が実桜にそのような美しい簪の贈り物をくださったということも実桜に好意を持っている証拠であろう。実桜も皇子様に贈りものをしたと言っておったが、実桜も好意を抱いておるのか?」
ボクシム先生は穏やかな表情のまま私の顔を見つめる。
私は小さく頷いた。
「そうか…、実桜も皇子様に好意を抱いておるのじゃな」
「だけど…」
「んっ? どうしたのじゃ?」
「ソユンさんも…」
「ソユンどのがどうしたのじゃ?」
「ソユンさんも…、皇子様のことを慕っていらっしゃいます…。ソユンさんは大事なお友達ですし、ソユンさんの気持ちを知っていて皇子様のことを好きだとは言えません…」
「ほぉー、ソユンどのも皇子様に好意を抱いておるのか」
「はい…」
私は視線を下に落とし、消え入りそうな声でボクシム先生に返事をした。
「実桜」
ボクシム先生が私の名前を呼んだ。
ボクシム先生に視線を向けると、ボクシム先生はとても柔らかい笑みを浮かべて私を見つめていた。
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