繋がる証

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「実桜はミンジュンのことが好きか?」 「は、はい…」 「それはヨンウォン皇子様に抱く “好き” という気持ちと同じ気持ちか?」 「いいえ…。違います…」 「では、ヨンウォン皇子様がミンジュンが実桜のことを好きだと知り、ミンジュンとは友達だから自分は身を引こうと考えるとしよう。それで実桜はミンジュンの気持ちに応えることはできるか?」 「…………」 「どうかな?」 「…………」 「そうであろうな。実桜がそうであるならば、ヨンウォン皇子様とて同じことだと思うぞ。皇子様もソユンどのの気持ちには応えることができないであろう」 「…………」 「実桜、お互いが好いておるのなら、誰に遠慮することなく本当の気持ちを告げることも私は大切なことだと思うぞ」 ボクシム先生はそう言ってにっこりと微笑んだ。 ボクシム先生と話をしたあと、私はミランさんと一緒に夜ごはんの支度をして、久しぶりに3人で食卓を囲んだ。 テーブルの上には、私の大好きなかぼちゃの炒め物や餃子鍋、ほうれん草のおひたしや牛肉ときのこの蒸し煮など、おいしそうな料理がたくさん並んでいた。 「実桜、いっぱい作ったからしっかり食べるのよ。やっぱり3人の食事はいいわねー」 ミランさんはうれしそうにボクシム先生と私の顔を見ながら、お皿にたくさん料理をよそってくれる。 久々のミランさんの手作りの料理と笑顔が溢れる団欒に、私は心の中がほっこりと温かくなるのを感じていた。 食事が終わり片付けを手伝ったあと、ミランさんは、 「まだまだ実桜とお話したいけど今日はいろいろと疲れたでしょ。早くお布団の中に入ってゆっくりと休みなさい」 と言って、まるで本当のお母さんのように柔らかい笑顔を向けてくれた。 私はその言葉に甘えることにしてミランさんにお礼を言うと、自分の部屋へと戻っていった。
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