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「す、すみません、あの、確認なんですけど、ここって、日本…ですよね…?」
「日本?聞いたことないですね。ボクシム先生、そのような国がシンファの近隣にありましたでしょうか?」
イケメンの男性が首を傾げながらおじいさんに確認する。
「いや。この近隣の国やその他の国のことは私も大抵存じておるが、日本という国は聞いたことがないな」
そのおじいさんも首を左右に振りながら、分からないといった表情をしている。
「あ、あの、日本が分からない? 日本ですよ、日本!」
「はい。聞いたことがありません」
男性は、嘘ではないというように大きく頷く。
何が何だかわからなくなってきた。
日本じゃないってどういうこと? シンファって何?
私いったいどうしちゃったの?
もしかしたらこれは夢で、夢の中の出来事かも。
頭の中でいろんな心の声がグルグルと飛び交っている。
そんな心の声に、1つの疑問が出てきた。
ここって日本じゃないのに、どうして日本語が通じるの?
この人たち、私の言葉が分かってるじゃん!
私は純粋な疑問を男性にぶつけた。
「じゃあどうして私の言ってること、日本語がわかるんですか?」
「日本語? 日本語とは何でしょうか? あなたはシンファの国の言葉を話していらっしゃいますよ」
「ひぇ?」
あまりの驚きに声が裏返り、変な声を出してしまった。
「わっ、私はちゃんと日本語を話しているし、シンファの国の言葉なんて知らない」
そんなことはあり得ないという顔をして、力いっぱい首を左右に振る。
だけど、その男性は、
「おそらく、見たところあなたは異国の方のようですが、ここシンファの国の言葉をちゃんと話して理解してらっしゃいます。実際に私たちと会話ができているのですから」
と私が言ったことをはっきりと否定した。
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