永遠に繋がる萌黄色

母からの手紙

『ヨンウォン、あなたがこの手紙を目にしているときはいくつになっているのでしょう？
あなたのそばで、あなたの成長を見守っていきたかったけれど、私にはその時間が残されていないようです。
せめてひとつでもあなたの母親として何かできることはないかと思い、この手紙を残すことにしました。

あなたが幼いころ、私に甘えたいのを我慢して、内官や侍女たちの前で平気な姿を装い、気丈に振舞っていたこと。
私の病を気遣い、我儘を言うことなく、周りの人たちの気持ちを察して過ごしていたこと。
小さなあなたの心が、どんなに悲しく、寂しく、辛かったことでしょう。
私もあなたを力の限り抱きしめ、甘えさせてあげたかった。
でも、それは叶いませんでした。

ヨンウォン、あなたにはこれから数々の試練が待ち受けていると思います。
そんなとき、私があなたのそばでその試練を乗り越えていく姿を見ることができればどんなに幸せだったことか。

私はあなたに、“永遠” という意味を込めて、ヨンウォンと名付けました。それは、現在、過去、未来といった時空にとらわれることなく、多くの人を愛し、愛され、まっすぐに生きていってほしいという願いを込めてです。
いつかあなたに愛する女人ができた時、その女人と共に生きていきたいと願うなら、きちんとその気持ちを伝えてほしいと思っています。
最初に王宮の状況や皇子としての立場を考えることなく、その気持ちを伝え、あなたの愛する人と縁を繋いでほしいのです。

きっとその女人は、あなたと共に喜び、溢れる笑顔を向け、温もりのあるやすらぎをもたらしてくれるでしょう。
そして、悲しい時や辛い時はあなたの心にそっと寄り添ってくれるはずです。
愛する人が隣で微笑み、共に生きてくれることは、とても幸せなことなのですから。

とは言え、あなただけの力だけでは、どうすることもできない場合もあるかもしれません。
そのようなことがあれば、どうかボクシム先生を訪ね、意見を求めてみてください。
ボクシム先生はきっとあなたに力を貸してくださるはずです。

私は王様に出逢い、王様から溢れるほどの幸せをいただきました。
そして、あなたという命を授かることができて、本当に幸せでした。
ヨンウォン、母はあなたを心から愛しています。
あなたのそばで、あなたの幸せを永遠に見守っています。

私の愛するヨンウォンへ　　母より』