母からの手紙

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「お、皇子様…」 驚きすぎてそう呟いたまま言葉が出ない実桜に、ヨンウォンもどんな顔をしてよいか分からず、ぎこちない視線を向けた。 「ひ、久しぶりだな、実桜。元気にしていたか?」 平然を装っているつもりだが、久しぶりに実桜の顔を見て声が上擦ってしまう。 実桜は先ほどと変わらず目を見開いたまま、ヨンウォンを見つめている。 「早朝から申し訳ないのだが、至急ボクシム先生にお会いしたいのだが」 ヨンウォンは少し口元を緩め、実桜に笑みを向けた。 「は、はい」 実桜は返事をすると、いつもならそのまま屋敷の方へ振り返りボクシム先生を呼ぶところ、そのまま逃げるように屋敷の中へと入っていった。 実桜が屋敷の中に入るとすぐにボクシムが庭へと出てきた。 「ボクシム先生、早朝から申し訳ございません」 「これは皇子様。どうぞ中へお入りください」 ボクシムは目を細めて穏やかに頭を下げると、ヨンウォンが来るのが分かっていたかのように、何も聞かず自分の書斎へと招き入れた。 通されたボクシムの書斎にはたくさんの書物が重ねられ、部屋のあちこちにも書物が置かれていた。 「少々調べものをしておりましたもので、部屋が片付いていないのですが…」 ボクシムは部屋のあちこちに置かれた書物を拾い集めながら、 「皇子様、どうぞお座りください」 と、部屋の中央に置かれた座布団に手を向けてヨンウォンに座るよう促したあと、自分も腰を下ろした。 「ボクシム先生、こんな早朝に申し訳ございません」 「いいえ、皇子様。お気になさらないでください。おそらく皇子様が来られるのではないかと思っておりましたから」 ボクシムは口元を緩めると温かな目でヨンウォンを見つめた。 ヨンウォンはその言葉に深々と頭を下げると、続けて話を始めた。
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