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ヨンウォンは王宮に戻り、部屋の中で実桜との会話を思い返していた。
久しぶりに見た実桜は本当に可愛かった。
いつものように目をキラキラとさせながら、
『皇子様、すごいー。ヨンジュの都が全部見えますよー』
『もう山の色も春になってるー』
『それにもうすぐ桜も咲きそうですよー』
と、話しかけてくるのがたまらなく愛しかった。
実桜への想いが溢れすぎて、気づいたら実桜を後ろから抱きしめてしまっていた。
実桜が自分の腕の中にいることがとても幸せだった。
そして、実桜の頬に自分の頬を寄せた時には、口づけをしたい衝動にかられてしまい、自分を抑えるのにとにかく必死だった。
実桜を自分の方へ振り向かせ、自分の気持ちを伝えた時、実桜はとても驚き、言葉を失っていた。
それはそうだろう。
まさか自分から、婚姻して生涯共に生きていきたいなんて言われるとは全く思っていなかったはずだ。
「相当驚いていた顔をしていたな…」
目をまんまるにして自分を見つめていた実桜の顔を思い出し、ヨンウォンはふふっと笑みを浮かべた。
実桜の返事をもらうことはできなかったが、実桜に気持ちを伝えることができたことで、ヨンウォンは少し満足していた。
だけど、まだヨンウォンの申し出を実桜が受け入れてくれるかは分からない。
「5日後と言ったが、これから5日も待たないといけないのか…。3日にすればよかったな…」
実桜が自分の申し出を受け入れてくれるのかという不安から、どうしても弱気になってしまう。
ヨンウォンは腕を組み、片手をおでこに当てながら目を閉じた。
「実桜は、私の申し出を受け入れてくれるのだろうか…」
ヨンウォンは悶々としながら小さく息を漏らした。
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