永遠に繋がる萌黄色

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永遠に繋がる萌黄色

とうとう5日目の朝がやってきた。 ヨンウォン皇子から言われた期限の日だ。 あれから私は何度も何度も自分に問いかけながら、なんとか答えを出そうと模索していた。 なのに結局何も答えを出せないまま、朝を迎えてしまっていた。 (あー、どうしよう…) (もうすぐ皇子が来るっていうのに…) ヨンウォン皇子がいつ来るのかと思うと、そわそわと落ち着かず、気持ちばかりが焦り始める。 そんな私の心とは裏腹に、窓の外は朝から澄み切った青空が広がり、柔らかな陽射しがうららかな春の訪れを感じさせていた。 (あー、ほんとにどうしよう…) 穏やかに微笑んでいるような天気を見ながら、溜息をつく。 私は不安で押しつぶされそうな気持ちを一生懸命抑えながら、とにかくいつ皇子が来ても外出できるようにと準備を始めた。 春らしく淡い桜色の着物に着替え、髪を後ろでひとつに纏める。 この淡い桜色の着物は、新年を迎えたときにミランさんがプレゼントしてくれたものだ。 鏡の前で着物と髪型をチェックすると、引き出しの中から、ヨンウォン皇子からもらった御衣黄の簪を取り出した。 (この簪、どうしよっかな…) 頭につけようかどうしようかと、簪をつけては外し、つけては外す。 散々迷った結果、私は簪を髪の毛に挿して部屋を出た。 すると、台所の方からミランさんの呼ぶ声が聞こえる。 「ミランさん、何かお手伝いしましょうか?」 そう言って台所を覗くと、洗い物を終えたミランさんが、 「お手伝いじゃなくて一緒に私の部屋に来てくれるかしら?」 と、弾むような笑顔で私の手を取り、自分の部屋へと連れて行った。 「実桜、ここに座って」 部屋の中に入ると、ミランさんが鏡の前に座るように私に言う。 私は困惑した顔でミランさんを見ながら、言われた通り鏡の前に座った。 「実桜、これから少しお化粧して髪の毛も結いましょ。実桜は年頃の娘なんだから、もっとお洒落しなきゃダメよ」 鏡に映る不安そうな顔をした私に微笑みながら、ミランさんがひとつに纏めていた私の髪の毛を解き、手際よく髪を結い始める。 「ミランさん…?」 きょとんとしながら鏡の中のミランさんを見つめる私に、ミランさんはニッコリと微笑んで口を開いた。
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