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そして、ヨンウォン皇子は再び真剣な表情をして私を見つめ、口を開いた。
「実桜、そなたが私と婚姻すると決めた以上、私はこれから何があっても実桜を手放すことはしない。分かっているな?」
「はい…」
「ではもうひとつ。実桜、私と婚姻するということはどういうことか分かっているか?」
「はい…。もうボクシム先生のお屋敷で暮らせないんですよね? 皇子様の妃になって王宮で暮らすってことですよね?」
「それだけじゃない」
「はい。わかってます。今までみたいに自由には出かけられなくて、王宮のことや妃としての心得もちゃんと勉強して、皇子様に迷惑かけないようにしていきます」
「いや、そういうことではない…」
「あっ…、皇子様が他の女の人とも婚姻されることですか…? それはちゃんとわかってるつもりです。皇子様という立場でしたら当然のことですから…。でも…、もし他の女の人のところへ行かれるときは、私に分からないように会いに行っていただけますか? 皇子様が他の女の人のところに行かれると思うとやっぱり辛いので…」
その時が来たら私は耐えられるのだろうか。
頭では分かっているけれど、他の女性に嫉妬してしまいそうで怖い。
想像しただけで涙が浮かんでくる。
でもこの国では当たり前のことで…。
ヨンウォン皇子と婚姻するということはそういうことなのだ。
「何を言っているのだ、実桜! 私は他の女人とは婚姻しない」
視線を下に落としかけた私に、ヨンウォン皇子は心外だというように睨むような視線を向けた。
「私は実桜以外の女人とは婚姻するつもりはない。実桜、本当に分からないのか?」
「分からないというか…、他に何かあるのでしょうか?」
「だから…。私と婚姻するということは、その…、私と夜を共にし、そのうち子も作るということだ。実桜が私と共に生きてくれると決めてくれた以上、今日から私はもう我慢はしない」
「えっ…。我慢…?」
「そうだ。我慢だ。私も健康な成人の男だ。今までどれだけ実桜に触れたいのを我慢しているのか分かっているのか? 私はもう我慢はしない。絶対にしないからな」
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