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(触れるって…、夜を共にするって…、キス以上のことをするってことだよね…)
(それって、皇子とエッチしちゃうってことだよね…)
わぁぁぁー。そんなこと全く考えてなかった。
私、皇子のそばにいたいってことしか考えてなかった…。
キスされるだけでこんなにドキドキしてしまうのに、それ以上のことなんて未知の世界すぎて、恥ずかしくて頬が真っ赤になる。
皇子の顔をまともに見ることができない。
「まあそんなに心配しなくてもよい。我慢はしないとは言ったが、毎日はやめておくゆえ…」
「ま、毎日…?」
素っ頓狂な声を出しながら、びっくりして目をまんまるくした私に皇子は
「冗談だ、実桜」
と、ククッと楽しそうに笑みを零した。
「も、もう、皇子様…。ほんとに…、ほんとにびっくりしたのに…」
私は必死で恥ずかしい気持ちを隠しながら、皇子に向けて頬を膨らませる。
「冗談だから安心しろ」
皇子が艶っぽい瞳で微笑みながら両手で私の頬を包み込む。
私はさらに頬が赤くなるのを感じながら皇子に笑みを浮かべた。
そんな私に皇子は急に不機嫌そうな顔を向ける。
「実桜、ひとつだけどうしても守ってもらう約束ごとがある」
「約束ごとですか?」
「そうだ。大事な約束ごとだ」
「なんでしょうか?」
「私以外の男にその笑顔を見せてはならぬ。その笑顔は私のものだ。ミンジュンやソンヨル、内官たちには決して見せるでないぞ。特にミンジュンは絶対だ。あいつは隙あらば実桜を狙ってくるからな。あいつだけは油断も隙もない…」
「あ、あの…、ど、どういうことですか…?」
「だからその笑顔は私以外の男に見せてはならぬと言っているのだ」
皇子は眉間に皺をよせてかなり不機嫌そうに私を見つめる。
「皇子様…、それは約束できません…」
「はっ? なぜだ? なぜ約束できないのだ?」
「だってみんな皇子の力になってくれる大切な方たちですし、私がこの国に来てからたくさん助けてもらったというか、信頼できる人たちなんです。そんな人たちに笑顔で接することができないなんて…。そんなの無理です」
何度も首を横に振る私に皇子は少し拗ねたような顔をする。
「皇子様、拗ねてもダメです。これは約束できません」
私は大きく首を横に振る。
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