4095人が本棚に入れています
本棚に追加
ヨンウォン皇子への恐怖心も次第に薄れかけてきたある日。
いつものようにボクシム先生の手伝いに来ていたミンジュンさんから、一緒に市場に行かないかと誘われた。
「実桜どの、明日ボクシム先生から頼まれた薬草を買いに行くのですが、一緒に来られませんか?」
「薬草ですか?」
「はい。市場まで買いに行くのですが、実桜どの、ここに来られてからこの屋敷の周辺しか行かれたことがないでしょう。気分転換にいかがですか?」
「市場ですか? ぜひ行きたいです!」
私は満面の笑みで返事をした。
*****
次の日、私はミンジュンさんと一緒に都の市場に来ていた。
この国に来てそろそろ3か月くらい経つのだけれど、市場を目にしたのは初めてで。
食堂、八百屋、魚屋、本屋、衣装屋など、ありとあらゆるお店があり、多くの人々が買い物をしたり食事をしたり、話をしたりじっくりと品物を眺めていたりと、とても活気づいている。
たくさんの店が軒を連ねている市場は見て歩くだけでも楽しく思えた。
市場の中には万華鏡のように美しく輝く宝飾品が置いてあるお店や、可愛らしい動物や植物の置物などが並ぶ雑貨屋などもあり、興味をそそられるお店がたくさんあった。
(わぁ、可愛いー。アクセサリーや雑貨がいっぱいあるー)
店の前に並べられている可愛い品物を見て、私はめちゃくちゃテンションが上がっていた。
(あー、ゆっくりといろんなお店を見てまわりたい)
そんな衝動に駆られてくる。
だけど今日はミンジュンさんの用事でここに来ているわけであって、ゆっくり見たいとも言えないし、今度ゆっくりひとりで見に来てみよう…。
そんなことを思いながら、私はいろいろなお店に目を輝かせ、あちこちと視線を動かしていた。
最初のコメントを投稿しよう!