初めての市場

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「実桜どの、どうですか、都の市場は?」 斜め右上からミンジュンさんの声がする。 振り向くと、そこにはミンジュンさんの甘い笑顔があった。 優しく微笑む彫りの深い端正な顔。 しかも身分が高くエリート官僚だとくれば、この国の女性たちが憧れるのも分かる気がする。 ミンジュンさんがジャニーズにいたら間違いなくトップ3には入るよね。 キムタク? 松潤? 紫耀くん? いや、それより上かも! 「いっぱいお店があって、すごく楽しいです」 たくさんのお店がある市場が楽しすぎて、自然と声が弾んでしまう。 ミンジュンさんは目を細めてうれしそうな顔をして微笑んでいる。 そんなミンジュンさんの足取りが急に止まったと思ったら、いつの間にか目的の薬草屋の前に着いていたようだった。 「実桜どの、ここで薬草を買いますので少し待ってくださいね」 「わぁー、すごい種類。これ全部薬草なんですか?」 薬草屋の前にはいろいろな種類の草や種、根っこのようなものが籠に入れられ、所狭しと置いてあった。 また、籠の中だけでなく、軒につるされている草もある。 その辺にある枯れた草や乾燥した種のようにしか見えないが、これらが全て薬草らしい。 「そうです。でもこれはほんの一部ですよ。薬草は何百種類とありますからね。これはその中でも一般的によく使う薬草なんです」 ミンジュンさんはそう言って私に説明してくれた後、薬草屋の店主に十数種類の薬草の名前を次々と告げた。 薬草屋の店主は籠に入れられた薬草や、店の前に吊るされた薬草を手に取り、どんどん紙に包んでいく。 瞬く間に白い紙に包まれた薬草の包が十数個でき、薬草屋の店主は、それを慣れた手つきで持ちやすいように紐でつないでくれた。 無事に薬草を購入して店主にお礼を言ったあと、私が歩いてきた道の方へ振り返り、屋敷へ戻ろうとすると。 「実桜どの、薬草を買うのを手伝ってくれたお礼がしたいのですが、食事をして帰りませんか? 近くにとてもおいしい食堂があるんです」 ミンジュンさんが、にこやかに微笑みながら私に言った。
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