二度目の再会

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「早く言え。ここで何をしていたんだ?」 「かっ、簪を見に来てて…」 あまりにも顔が近すぎることに緊張してしまい、自分でもびっくりするくらい声が裏返っている。 色白で涼しい切れ長の黒目に長いまつげ、すっーとした鼻筋に形のよい唇。 間近で見るヨンウォン皇子は『麗しい』という言葉がぴったりと当てはまるくらい、端麗な顔立ちをしていた。 なんとも妖艶で美しい顔だ。 そんな男性に見つめられ、私の心臓がとても大きな音を立ててドキンと跳ねる。 私は反射的に顔を背けた。 だけど。 ヨンウォン皇子は顔を背けた私の顎にもう一度手をかけ、容赦なく自分の方へクィっと上げた。 「簪だと? こんな場所で若い女人が1人でいたら危ないということぐらい分かっているだろ!」 「ひっ、ひとりだと危ないのですか?」 「はぁ? 何を言っている。危ないに決まっているだろ。こんなところで若い女人が1人でいたら、お前さっきのごろつきたちに妓楼へと売られてしまうぞ」 「ぎっ、妓楼?」 「そうだ。妓楼だ」 「妓楼って何ですか?」 「お前は妓楼も知らないのか。女が酒をついだり、夜を共にしたりして男をもてなすところだ」 「えっ、あの…風俗…、じゃなくて、えっと、吉原じゃなくて…、もしかして遊女ってことですか?」 「ああそうだ。遊女だ。遊女として妓楼に売られてしまうということだ」 「ゆっ、遊女って…」 皇子の口から思ってもみなかった言葉が出てきたことにびっくりして、私は次の言葉が出てこなくなった。 遊女って江戸時代に吉原とかで身体を売っていた、あの遊女のことだよね? そんなところに売られてしまうかもしれないってこと? 皇子は怒った表情のまま、かなり不機嫌な顔をして私を見ている。 私はその視線を遮るように、首を左右に振りながら口を開いた。 「そ、そんなこと言われても。ここが危ないとか妓楼に売られるとか知らなかったから…」 「知らなかっただと? 全く…。たまたま私が通ったから良かったようなものの、あのままだとお前は妓楼に売られていたのだからな」 皇子は妓楼も知らない私のことが全く理解できないといった表情でチッと舌を鳴らし、呆れかえったように言い放った。
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