二度目の再会

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一方ヨンウォンの方は、実桜にそう言われ言葉に詰まってしまった。 今まで他人からそんなことを言われたことなんて一度もなかったからだ。 この国の皇子として生まれ、小さなころから内官や侍女が自分の世話をし、何でも言うことを聞いてくれた。 誰ひとりヨンウォンの言うことに反論する者はなく、いつもヨンウォンのことを褒めてくれていた。 かといって、わがまま放題に育ってきたわけではない。 皇子としての厳しい教育のもと、学問や武芸も真面目に行い、他人より人一倍努力もしてきた。 多くの書物を読み、師に教えを乞い、さまざまなことを吸収し、知識を携えてきたつもりだ。 皇子として国民の模範となるよう、いつも信念を持って生きてきたのだ。 それなのに。 実桜から放たれた言葉が胸に突き刺さる。 私には人間としての基本がなっていないというのか。 いや、そんなことはない。私は今まできちんと生きてきたという自負がある。 だいたい他人が、しかも女人が自分に反論するなんてありえない。 ただこの女人が悔しくて言っているだけではないのか? だが、こんなにも涙を流しながら私を睨みつけて反論してくるとは。 いったいこいつはどういう女人なのだ。
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