おみくじのお告げ

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「あっ、そうだ実桜、駅の向こうに神社があるじゃん。知ってる? そこのおみくじがすごく当たるんだってー」 「駅の向こうの神社って、桜守神社のこと?」 「そうそう、桜守神社。この間テレビで縁結び神社特集っていうのをやってたんだけど、そこにある『縁結びみくじ』っていうおみくじが、神様のお告げって言われてるらしいよ」 「神様のお告げってどういうこと?」 「その人の未来とかね、これからどんな人と出会う…みたいなこと書いてあって、それがすっごく当たるから、神様のお告げって言われてるんだって。今日は私用事があって無理なんだけど、明日一緒に行ってみる?」 そう言って優里は人懐っこい笑顔を私に向けた。 ***** 次の日、私は学校の帰りに1人で桜守神社に来ていた。 ほんとは優里と一緒に桜守神社に行こうとしていたんだけど、学校を出たところで、なんと優里の彼氏の涼介くんが立ってて。 優里も私もびっくりして涼介くんに近づいていくと、涼介くんはちょうど部活が休みになったから、優里と一緒に帰ろうと私たちの学校の前で待っていたらしくって。 それでも優里は、先に私と約束したからって一緒に桜守神社に行こうって言ってくれたんだけど、せっかく涼介くんが優里と一緒に帰ろうと待っててくれたのに、そんな2人の邪魔なんて絶対にしたくないよね。 だから優里の申し出を丁重にお断りして、それで1人でこの桜守神社に来たってわけなんだけど。 学校の帰りに制服を着た女子高生が1人で縁結び神社に来てたら、なんか必死感オーラ満載だよね。 そんな風に思われないように、私はいかにも参拝には慣れてます的な涼しい顔をして境内を見渡した。 優里の話ではテレビで紹介されて以来、土日は女性の参拝客で溢れかえっているってことだったけど、今日は平日の午後のせいか何人かの女性の参拝客がいるだけで、私は少しほっとしながら拝殿へと向かった。
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