王宮でのお茶会

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まず建物だけど、王様が過ごす場所、王妃様が過ごす場所、スンヒョン皇子、ヨンウォン皇子、サラ皇女たちそれぞれが過ごす場所、政務を行う場所、勉強する場所、書庫がある場所…とそれぞれひとつひとつが独立した建物になっていて、この広い敷地内の中にかなりの数の建物が存在しているそうだ。 それに、内官や侍女たちが過ごす場所、病院のような医官のいる場所、薬剤を作る場所、食事を作る場所や洗濯をする場所などもあるそうで、この王宮の中にいればすべてが事足りるらしい。 また、広い剣舞場では剣術の試合や舞踊の披露が行われたり、大きな池では小舟で遊覧できたり、広い庭では花や草木を愛でたり散歩もできるようだ。 「ボクシム先生、王宮ってすごいんですね」 王宮の中をきょろきょろと見渡しながら歩く私を、ボクシム先生は温かな目で見守りながら微笑んでいる。 サラ皇女がいる建物の前に到着すると、ボクシム先生が私を連れてきたことを侍女に告げた。 侍女が『かしこまりました』とボクシム先生に一礼し、皇女の部屋の前まで行って私が到着したことを知らせると、すぐにサラ皇女が部屋から顔を出してきた。 「ボクシム先生こんにちは。実桜さま、お待ちしてましたわ。さあ早く中に入って!」 皇女は嬉しそうに、手でこっちこっちとジェスチャーしながら私を招く。 私はボクシム先生にお礼を言ってから、サラ皇女の部屋へと入った。 皇女の部屋は10畳くらいの部屋で、部屋の中には美しい彫刻がされた箪笥や、書を書いたり勉強をしたりするような小さな机が置かれ、花瓶に生けられた美しい花が飾られていた。 そして部屋の中には、既に白い睡蓮の刺繍が施されたピンク色の座布団が三角形になるように3枚敷かれ、その前にはひとり用の小さなお膳が3つ用意されていた。 お膳の上にはそれぞれに急須と湯呑みの茶器セットと、その茶器の横には梅の花を模した小さな餅のような菓子や、干した杏や棗が置いてある。 「実桜さま、どうぞ座って」 皇女にそう言われ、私は座布団の上に腰を下ろした。
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