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「実桜さま、今日はもうひとりソユン様というお母様の親戚の方が来られるの。もうすぐ来られると思うから」
すると外から『皇女様、ソユン様が来られました』と侍女の声が聞こえた。
そして部屋のドアが開き、品のある控えめな感じの女性が入ってきた。
「皇女様、お久しぶりです」
その女性は丁寧に頭を下げた。
所作がしなやかでとても美しい。
私と同じくらいの年齢かな?
そう思っていると、サラ皇女が私をその女性に紹介してくれた。
「ソユン様、こちらは実桜さまと言ってボクシム先生の遠戚の方でとってもいい方なの。ソユン様と同じ17歳よ」
「はっ、初めまして。実桜と申します」
私は立ち上がってペコリと頭を下げて挨拶をした。
「ソユンと申します。よろしくお願い致します」
ソユンさんはしなやかな笑顔を私に向けた。
「では座って。さっそくお茶をいただきましょ」
私はもう一度座布団の上に腰を下ろした。
どうしたらいいのかと皇女とソユンさんを見ていると、2人は急須に入ったお茶を大きく口の開いた湯呑みに注ぎ始めた。
私も2人と同じように目の前にセットされている急須を持ち、湯呑みにお茶を注ぐ。
薄黄色のお茶が注がれ、同時にふわっと優しい香りが漂う。
「わぁー、すごくいい香り。これは何の香りなのかな?」
湯呑みに顔を近づけてお茶の香りを嗅ぎながらサラ皇女に尋ねる。
こんなお茶の香りは今まで嗅いだことがない。
「これは菊花茶よ。お肌が綺麗になって、よく眠れて、女人にはとてもいいお茶なの」
サラ皇女がうれしそうに答える横で、ソユンさんも穏やかに頷きながらお茶を楽しんでいた。
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