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境内は柔らかい光に包まれて、ツツジやハナミズキのつぼみが膨らんで赤く色づき始めていた。
私は先に拝殿でしっかりと参拝を済ませた後、本来の目的であるおみくじをひくために授与所へと移動した。
「すみません。縁結びみくじをひきたいんですけど」
恥ずかしさから、声をかけた巫女さんの顔を直視できず、声も自然と小さくなってしまう。
そんな私とは対照的に、巫女さんは「200円のお納めになります」と言いながら柔らかい表情を私に向ける。
背負っていたリュックからお財布を取り出してお金を支払うと、巫女さんは「ではこちらをどうぞ」と言って、目の前に置いてある『縁結びみくじ』と書かれた六角形の木の筒に手のひらを向けた。
私はその木の筒を手に取り、中に入っている棒がよく混ざるようにガラガラと振り始めた。
結構ずっしりとしていて、意外に重量感がある。
何度もよく振った後、木の筒を逆さにすると、真ん中に『二十二』と書いてある一本の竹の棒が出てきた。
その棒を巫女さんに見せながら、その数字を告げると、巫女さんは「ようこそお参りくださいました」と言いながら『縁結びみくじ』と書かれた長細いおみくじを私にくれた。
それは小さく折りたたんである普通の白いおみくじとは違い、淡い黄色のしおりのようなおみくじで、ほんのりと白檀のような甘い香りがした。
ここに、神様のお告げが書いてあるんだよね。
どんなお告げなんだろう。
ドクンドクンと鼓動が少し音を立て始める。
私は緊張しながらそのおみくじを開いた。
「えっ? う、うそでしょ…」
目に飛び込んできた文字に絶句する。
開いたおみくじに書かれてあったのは、な、なんと『波瀾の兆』という文字で。
はっ、波瀾?
決して良い意味には取れない言葉に、一瞬目の前が真っ暗になる。
波瀾の兆って何?
どういうこと?
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