想定外のキス

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想定外のキス

お茶とお菓子を食べ終えた私たちは、いい天気なので散歩でもしようと、サラ皇女の部屋を出て王宮の中をのんびりと歩いていた。 陽射しは強いけれど、時折吹く穏やかな風がとても気持ちがいい。 そんな中、サラ皇女が前から歩いてきた3人の男性に手を振った。 「あっ、お兄さまー」 前から歩いてきたのは、ヨンウォン皇子とミンジュンさんとソンヨルさんだった。 「実桜どの、王宮に来られていたのですか?」 ミンジュンさんが私を見つけ、にこやかな顔をして尋ねる。 「はい。皇女様が招待してくださいまして、ソユンさんと3人でお茶会をしていました」 「お茶会ですか? それは楽しそうですね。私もご一緒したかったです」 ミンジュンさんは社交辞令のような言葉をいかにも本心であるかのようにサラリと言いながら、爽やかな笑顔でサラ皇女とソユンさんの顔を見る。 「ほんとですか? では今度はぜひミンジュン様もお呼び致します」 ミンジュンさんの言葉にサラ皇女は胸の前で両手を組み、嬉しそうに声を弾ませながら答えた。 頬が瞬く間にリンゴのように赤く染まっている。 そして『あっ!』と、何か思いついたかのようにヨンウォン皇子の方に顔を向けた。 「お兄さまー、お天気もいいしこれから一緒に池の舟に乗りましょー」 「私たちは忙しいのだ。サラたちだけで乗りなさい」 ヨンウォン皇子は『無理だ』というように、ゆっくりと顔を横に振った。 「だって舟は2人乗りでしょー。2人しか乗れないもの。ちょうど6人いるから2人ずつ乗れるでしょー」 「今日はダメだ」 「いやだー」 サラ皇女は頬をまんまるに膨らませ、駄々っ子のように左右に首を振る。 「また今度遊んでやるから」 そう告げるヨンウォン皇子に、皇女は背伸びしながら皇子の耳に顔を近づけコソコソと耳打ちした。 サラ皇女から耳打ちされた皇子は、『あー、わかったわかった』と頷きながら、サラ皇女の頭をぽんぽんと触った。 「仕方ない。では少しだけだぞ」 「やったー。お兄様大好きー」 皇女は両手を広げてヨンウォン皇子に思いっきり抱きついている。 サラ皇女に抱きつかれたヨンウォン皇子が、ソンヨルさんとミンジュンさんを見ながら申し訳ないといった表情を向けた。
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