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「ソンヨル、ミンジュン、少しだけサラのわがままに付き合ってくれるか?」
皇子の言葉に、2人とも『わかった』といった面持ちで苦笑いを浮かべている。
「それでミンジュン、悪いがサラと一緒に乗ってくれるか?」
皇子がまたもや申し訳ないと言った表情で、ミンジュンさんにお願いをした。
「えっ? ああ、わかった」
私はクスッっと笑った。
どうやら皇女はヨンウォン皇子に、ミンジュンさんと一緒に舟に乗りたいとお願いしたようだ。
「では皇女様、一緒に舟に乗りましょうか」
ミンジュンさんが先ほどと同じように爽やかな笑顔を向けてサラ皇女にそう言うと、皇女はしおらしく小さく『はい』と返事をして、とってもうれしそうな顔をしてミンジュンさんと一緒に小舟の方へ歩き始めた。
サラ皇女とミンジュンさんが小舟の方へ歩いていくのを見送っていると、サラ皇女がくるりと振り返り、私にとびきりの笑顔を見せながらVサインをした。
皇女様ってば。
ちゃんとVサイン使ってるし。
ほんと可愛い。
私も「よかったねー」と笑顔を皇女に向けながら、Vサインを送り返した。
そしてヨンウォン皇子やソンヨルさんたちの方へ振り返る。
すると、残ったソユンさんと私を見ているヨンウォン皇子とバッチリ視線が合ってしまった。
(わっ、ヨンウォン皇子と目が合った…)
私は慌てて視線を逸らす。
どうしよう…。
ヨンウォン皇子と一緒には乗りたくないな。
また何を言われるかわからないし。
先日の市場での出来事のこともあり、ヨンウォン皇子と一緒に舟に乗るのが躊躇われた私は、そんな気持ちを察知されないように、とっさにソンヨルさんに声をかけた。
「ソンヨルさん。私と一緒に乗ってもらってもいいですか?」
「はっ、はい? 私ですか?」
急に私に声を掛けられたソンヨルさんは、少し戸惑ったような声で返事をした。
「はい。では行きましょー」
私は半ば強引にソンヨルさんの袖を掴み、それを引っ張った。
そんな私の態度にヨンウォン皇子は何か言いたそうな顔をしながら、ソユンさんに言った。
「ソユンどの、では私と一緒に乗りましょう」
「はい。わかりました」
小さな声で控えめに答えるソユンさんの顔はとてもうれしそうだった。
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