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「そっか。ところでヨンウォン皇子様ってどんな方なんですか? 私、ミンジュンさんとは普通に話しやすいんですけど、ヨンウォン皇子様はちょっと苦手というか、近寄りがたくて…」
先日の市場での出来事を思い出しながらソンヨルさんに尋ねる。
「皇子様は一見、気難しそうに見えるかもしれませんがとても心の温かい方です。それに友としても、臣下としてもとても信頼できる方です。ヨンウォン皇子様だからこそ、私は護衛武官として仕えています」
「そうなんだ…」
あのヨンウォン皇子が信頼できて心の温かい人?
まあ、あの時助けてくれたから悪い人ではないんだろうけど…。
でもやっぱり近寄りがたいというか苦手だな。
ふうんと大きく頷きながらソンヨルさんに話を続ける。
「ソンヨルさんと皇子様はすごい絆なんですね」
「絆といいますか…、本当に信頼できる方、この国にはなくてはならない方だと思っています。皇子様が目指すシンファの国、それを私も一緒に手助けできたらと思ってます」
「なんかいいですね。そういうのって。男の人同士の真の友情っていうか、信頼関係っていうか。そういう揺るぎない関係ってなんか憧れるなー」
「ありがとうございます」
ソンヨルさんは照れたような笑みを浮かべながら、うれしそうに答えた。
私は視線を再びサラ皇女やソユンさんが乗っている舟の方へと向けた。
「ねぇ、ソンヨルさん」
「はい。なんでしょう?」
「サラ皇女様ってミンジュンさんのことが好きなのはわかるんだけど、ソユンさんはヨンウォン皇子様のことが好きなのかな?」
「さぁ。私にはよくわかりませんが」
「なんかそんな風に見えるんだけどなー。ソユンさん、すごく幸せそうな顔をしてるし。皇子様はどうなのかな? ソユンさんのことどう思ってるんだろう?」
「その辺についてはわかりませんが。ですが皇子様は常々、婚姻はされないと言われていますので」
「どうしてですか?」
「いろいろとお考えがあるようです」
私は遠くで舟を漕いでいるヨンウォン皇子の方を見た。
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