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3隻とも一進一退のいい勝負で、どの舟が一番になるのか予想がつかない。
だけど、ゴールまであと少しになったところで、私たちの舟が一歩リードし始めた。
「ソンヨルさん、すごいっ! 私たちが1位みたい。頑張ってー」
私は手をたたきながら一生懸命ソンヨルさんを応援する。
負けじとヨンウォン皇子とミンジュンさんの舟が追いかけてくる。
「ソンヨルさん、あともう少しー。わぁー、追いつかれちゃうー!」
池の周りで見ている内官や侍女たちの声もさらに大きくなってきた。
みんなが大きく手をたたきながら、誰が1着になるかを待ちわびている。
「ソンヨルさんー、頑張ってー。早く! あともう少しー」
私はさらに両手をギュッと握りしめて、ソンヨルさんに力いっぱい声をかけた。
そして-。
ゴォォォォォーン。
再び太鼓の音が鳴り響く。
ゴールに立っていた別の内官が大きな声で叫んだ。
「ソンヨル様がー、1着でございますー」
そのわずか僅差でヨンウォン皇子、そしてミンジュンさんと続いた。
「やったー! ソンヨルさん、私たち1位だー!」
私は1着でゴールしたことがうれしくて、喜びいっぱいでソンヨルさんに両手でハイタッチをした。
ソンヨルさんも満面の笑顔で私にハイタッチをした後、右手でガッツポーズを作ってくれた。
向こうでサラ皇女が 『わぁー負けちゃったわー!』 と悔しそうな顔をしている。
私とソンヨルさんが嬉しそうに喜んでいる姿を、ヨンウォン皇子とミンジュンさんが悔しそうな表情で見ていた。
「ソンヨル! 私に勝つとは100年早いぞ」
僅差で負けたヨンウォン皇子が、拗ねたような表情をしながらソンヨルさんに冗談っぽく言い放つ。
「いえ、皇子様が手加減するなとおっしゃられましたので…。なぁ、ミンジュン」
ソンヨルさんはポーカーフェイスのまま、何事もなかったかのように平然と答える。
そんな2人のやりとりを見ていたミンジュンさんは、可笑しそうに笑いながら『ああ、そうだ』と頷いている。
「全く…。そうは言ってもここは私に勝たせるべきだろ!」
「私は忠実に皇子様のご命令に従っただけです」
拗ねるヨンウォン皇子と、しれっとすまして答えるソンヨルさんの会話を聞きながら、みんなが楽しそうに笑っていた。
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