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「ではそろそろ戻るか」
ヨンウォン皇子がそう告げて、岸に一番近かった私たちがまず舟を移動させた。
続いてヨンウォン皇子とソユンさん、ミンジュンさんと舟から降りていく。
そして最後にサラ皇女が舟から立ち、ミンジュンさんの伸ばした手を握ろうとしたその瞬間、サラ皇女が乗っていた舟と、ヨンウォン皇子たちが降りた舟とがぶつかってしまった。
その衝撃で舟がグラっと揺れ、皇女がバランスを崩す。
「きゃあー」
サラ皇女が叫び声をあげた…と同時に、
ドッボーーーンッ。
サラ皇女が池の中へ落ちてしまった。
「皇女様ー!」
急いでミンジュンさんがサラ皇女に向かってさらに手を伸ばすけれど、皇女はミンジュンさんの手を握ることができず、手を上にあげながら池の中へどんどん沈んでいく。
「皇女様ー。皇女様ー」
内官や侍女たちがおろおろとしながら大声で池に向かって叫ぶ。
「サラー!」
ヨンウォン皇子がそう叫んだかと思うと、皇子はすぐさま池の中に飛び込んだ。
そして、池の中に潜りそのまま見えなくなってしまった。
「皇子様ー。皇女様ー」
周りの者たちが青ざめた顔をして池の中へ向かって叫び続ける。
しばらくすると、ヨンウォン皇子がサラ皇女を抱え、池の中から顔を出した。
それを見ていたソンヨルさんやミンジュンさん、内官や侍女たちに安堵の表情が戻る。
皇子はそのままサラ皇女を抱えながら、泳いで岸辺にたどり着いた。
ソンヨルさんとミンジュンさんがサラ皇女を引き上げる。
「ソンヨル、サラを早く医官長の元へ。頼む」
「はい、皇子様」
ソンヨルさんはぐったりとしたサラ皇女を抱きかかえ、医官長の元へと連れて走り出した。
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