想定外のキス

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皇女を引き渡した後、ヨンウォン皇子が池の中から地上へあがろうとしたその時。 ヨンウォン皇子の衣装が停まっていた舟にひっかかってしまった。 皇子がひっかかった衣装を外そうとするけれど、3隻の舟がくっついていることもあって、なかなか外すことができない。 衣装が外れないため、くっついている舟を離そうとするけれど、今度は舟が重すぎて皇子だけの力では思うように動かない。 どうにかひっかかった衣装が外れないかと一生懸命布を引っ張ってみるけれど、全く外れる様子がない。 そうしているうちに皇子の体力に限界がきたのか、今度はヨンウォン皇子がズブズブと池の中へと沈んでいってしまった。 「皇子様ー。皇子様ー」 また周りの内官や侍女たちが狼狽しながら叫び始める。 「ヨンウォンー!」 今度はミンジュンさんがすかさず池の中に飛び込んだ。 「皇子様ー。皇子様ー」 みんなが口々に取り乱した様子で池の中に向かってヨンウォン皇子の名を叫ぶ。 そして。 池の中へ飛び込んだミンジュンさんが、沈んでいったヨンウォン皇子を抱えて水面へ顔を出した。 再び内官や侍女たちに安堵の表情が戻る。 ヨンウォン皇子を抱えたミンジュンさんは、険しい顔をしながら岸辺へと泳いできた。 内官たちが急いでヨンウォン皇子を引き上げる。 「皇子様が息をしていない。早く医官長を…。医官長を呼べ!」 内官たちが大声で叫ぶ。 数人の侍女たちが急いで医官長を呼びにいった。 「皇子様ー。皇子様ー」 「医官長はまだ来られないのか!」 「皇子様ー!」 息をしていない皇子に呼びかけながら内官たちは医官長を待っている。 (ちょっと、医官長はまだかって…) (もしかしてこの状態で医官長を待つつもりってこと?) (サラ皇女を治療しているのにすぐに来れるわけないよね?) (医官長じゃなくて、他の医官の人もいないの?) 私は息をしていない皇子をそのままにして医官長の到着を待ちながらおろおろしている内官たちを見て、とても心配になった。
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