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(ヨンウォン皇子が息をしてないってことは、このままだと脳に酸素がいかなくなるってことだよね?)
(医官長を待ってる間に皇子が死んでしまうじゃん。早く助けないと…)
「ちょっといいですか」
私はぐったりと横たわっているヨンウォン皇子のそばへ行き、皇子の顔を横に向けた。
そして皇子の胸の真ん中あたりに片手を置き、その上にもう片方の手を重ね、そのまま垂直に圧迫しながら皇子に心臓マッサージを始めた。
「おいお前!皇子様に何をするんだ。殺す気か。皇子様に触れるでない!」
「早くこの者を皇子様から遠ざけよ!」
内官たちが私の身体を掴み、皇子から引き離そうとする。
「ちょっと何をするんですか! 早く心臓マッサージしないと皇子様が死んでしまうから!」
そう説明する私の言葉を内官たちは全く聞き入れてくれず、さらに力づくで皇子から引き離そうとする。
「このままだと本当に皇子様が死んでしまうんです。皇子様を死なせたくないなら今は私に触らないでください!」
私は必死で内官たちに叫んだ。
一瞬周りの空気が止まる。
「何を言っている。この者を早く皇子様から遠ざけよ!」
それでも内官たちは私の身体を掴み、皇子から引き離そうとする。
「お願いだから、あとでどこでも行くから。もう、このままだと本当に…、本当に皇子様が死んでしまうんだってばー!」
私は力の限り叫んだ。
その迫力に圧倒されたのか、内官たちは掴んでいた手を私の身体から放した。
内官たちの手が離れたので、私は急いでヨンウォン皇子の胸に自分の両手を重ね、心臓マッサージを始めた。
そして皇子の顔を上に向け、口を開き、そこに自分の口をつけて息を吹きこんだ。
人工呼吸なんてしたことないけど、たしか体育の先生が授業で心臓マッサージ30回に人工呼吸が2回の割合って言ってたはず…。
もし水を飲んでいた場合は、吐いたときに水が気道に入ったらいけないから、顔は横に向けておくんだったよね。
私は授業で習ったことを思い出しながら、皇子の口に息を2回吹き込んだ後、口から水が出やすいように皇子の顔を横に向け、再び心臓マッサージを始めた。
(お願い。ヨンウォン皇子、息をして)
(お願いだから。早く息をして。お願い!)
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