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私は心の中で何度もそう叫びながら、もう一度皇子の口に自分の口をつけ、また息を吹き込み、心臓マッサージを繰り返す。
だけどなかなか皇子は息を吹き返さない。
(どうして息をしてくれないの!)
(この心臓マッサージのやり方が間違ってるの?)
息を吹き返さない皇子にじわじわと不安と焦りが押し寄せてくる。
まだ皇子が息をしない。
このままだとほんとに死んでしまう。
(お願いだから、お願いだから、早く、早く息をして)
(ヨンウォン皇子…)
私は必死で何度も何度も心臓マッサージを繰り返した。
『ゴホッゴホッ』
しばらくすると、横を向いていたヨンウォン皇子の口から少しの水がこぼれ出てきた。
「あっ、皇子様、皇子様!」
必死でヨンウォン皇子に呼びかける。
皇子が水を吐き出したかと思うと、
………… スーーー スーーー
静かに息をし始めた。
(あっ、皇子が、皇子が息してる)
(よ、よかった…)
(助かった…)
私は安心してそのままその場にヘタリと座りこんだ。
ヨンウォン皇子が息を吹き返したと同時にやっと医官長が到着し、すぐに皇子の手首を持ち、脈拍をはかりだした。
そして静かに頷くと、内官たちにヨンウォン皇子を部屋へ運ぶように告げた。
私はほっと胸を撫で下ろしながらヨンウォン皇子が運ばれていく様子を見届けていた。
(あー、よかった)
(ほんとにほんとによかった)
ふぅーと大きく息を吐く。
焦りと不安から相当汗をかいていたようで、着物がぺったりと身体に張り付いている。
私は身体に張り付いた着物をパタパタとしながら、皇子の姿が見えなくなったところで、その場から立ち上がろうとした。
その時ー。
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