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「こいつをとらえろ」
急にガタイの大きい怖そうな武官たちが4~5人現れ、私の周りを取り囲み、身動きできないように腕をつかんだ。
「えっ、どうして?」
急に腕を掴まれ、私は驚いて武官たちの顔を見る。
「お前、皇子様に息を吹きかけ、呪いをかけて殺そうとしたであろう」
「呪い? 殺す? どうして私が?」
思いもよらない疑いをかけられ、私は首を大きく左右に振りながら必死で違うと訴えるけれど、屈強な武官たちは私の腕を掴んだまま放さない。
「さっさとこの女人を連れていけ!」
ミンジュンさんが武官たちにヨンウォン皇子を助けただけだと何度も説明してくれるものの、武官たちはミンジュンさんの言うことなど全く聞き入れることはしなかった。
そして私は武官たちに強引に連れて行かれてしまった。
武官たちに連れて行かれた場所は、椅子がひとつあるだけの窓もない小さな部屋だった。
私は身体を縄で縛りつけられ、無理やり木製の椅子に座らされた。
そして、今度は椅子から立ち上がれないよう、椅子と私の身体をさらに縄で厳重に縛りつけられた。
「おいお前、皇子様に口から息を吹き込み、呪いをかけて殺そうとしたな」
「していません」
「していないだと? さっさと本当のことを言わぬか」
「だから私は呪いなんかかけていないし、殺そうともしていません」
「それならなぜ皇子様に口から息を吹き込んだ?」
「それは心臓マッサージと人工呼吸をして助けただけです」
私は真剣な顔をして武官の目を見た。
「なんだと? 何をわけのわからないことを言っている! まだ嘘をいうつもりか」
バシッ-。バシッ-。
いきなり武官の大きな分厚い手が私の顔にとんできた。
叩かれた衝撃で身体が横に揺れ、頭がグランとして一瞬気を失いそうになる。
激しい痛みとともに頬がジンジン痺れはじめた。
それと同時に顔から血が垂れ、着物の上にボタッボタッと落ちてきた。
おそらく鼻血がでてきたのだろう。
「早く本当のことを言わぬか。皇子様に呪いをかけて殺そうとしたのだろ」
「だから呪いなんかかけていないって何度も言ってます!」
「しぶといヤツめ。早く白状するようもっと痛めつけてやれ」
武官の中で大将だと思われる男が、部下の者たちに命じた。
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