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涙がとめどなくボロボロと溢れ、頬をつたって着物を濡らす。
呪いをかけて殺すなんてそんなことできるわけないのに、どうやったら信じてもらえるの?
心臓マッサージとか人工呼吸で助ける方法なんてこんな時代の人たち知らないよね?
私はどうしたらいいの?
あのひどい拷問から解放され、ほんの少しだけ落ち着いてきたものの、全く先が見えない不安から身体と手足はガタガタと震えている。
震える手をゆっくりと動かしながら、武官にたたかれた頬に持っていく。
かすかに感じる自分の頬の体温を確認しながら、もう片方の手で鼻を触った。
触った手を見ると真っ赤な血がついていた。
その手を見ながら、もう自分ではどうすることもできない現実にますます涙が溢れ出てきた。
「実桜どの。実桜どの」
ミンジュンさんが息を切らしながら、私が入れられている牢屋の前へと駆け込んできた。
「ミンジュンさん…」
「こんな姿になってしまって…。なんてことだ…」
腕や足が赤く腫れあがり、切れて血が滲み、傷だらけになっている私の姿を見て、ミンジュンさんは何とも言えない悲痛な表情を浮かべた。
私は身体を引きずるようにして、なんとかミンジュンさんがいる扉の前へと移動した。
ミンジュンさんは格子枠から自分の両手を中に入れ、私の手を握る。
ミンジュンさんが来てくれた安心感と、握ってくれた手の温もりから、またさらに涙が溢れてきた。
「私…、皇子様を殺そうとなんてしてません…。ただ…、ただ助けようとしただけなんです…。あのまま医官長を待っていたら…、皇子様が死んでしまうと思ったから…。本当に…、本当に助けようと思っただけなんです…」
私はボロボロと涙を零しながら、絞り出すように声を出して、一生懸命ミンジュンさんに訴えた。
「実桜どのがヨンウォンを殺そうとするなんて絶対にしないことは、私が一番わかっております」
ミンジュンさんは大きく頷きながら真剣な顔で見つめる。
「ありがとうございます…。でも、私には…どうやって自分の潔白を証明できるのかが…わかりません…」
「必ず助ける方法を考えますから、もう少しだけ、もう少しだけ待っていてください」
ミンジュンさんはそう言って私の手を優しく握りしめた。
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