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「皇子様、この者は皇子様に息を吹きかけ呪い殺そうとしたのです」
ヨンウォン皇子に対して、武官の大将が毅然とした態度で反論する。
そんな武官の大将の態度に、皇子の顔がさらに険しくなった。
「私を殺そうとしただと? どこに証拠がある? 私はこのように生きているではないか!」
「…………」
「医官長に私の身体を見てもらった。私は健康そのものだ。この者が助けてくれなかったら私は死んでいたであろう。この者は尋問される理由はない。私の命の恩人なのだ」
「…………」
「早く尋問をやめて今すぐこの者の縄を解け!」
そう言い放つ皇子に武官の大将は、
「ですが皇子様、呪いをかけられていないとは限りません。現に皇子様の身体に息を吹きかけたのは事実でございます」
と反論し、しぶとく食い下がった。
「呪いだと?」
「はい。さようでございます」
「私は健康だと言っておるのに、そなたはこの者が私に呪いをかけたと言うのだな」
「…………」
武官の大将は無言のまま、ヨンウォン皇子の顔を見た。
「分かった。では医官長に聞こう」
ヨンウォン皇子は武官の大将をものすごい形相で睨みつけながら、一緒に連れて来ていた医官長に尋ねた。
「医官長、昨日私に話したことを述べてみよ」
「はい、皇子様。人間が水中で沈んでしまった時ですが、口から大量の水が入り込み、呼吸が止まる場合がございます。その場合は早急に鍼を打ち、呼吸を起こさねばなりません。それは一刻を争います。少しでも遅れてしまいますと永遠に呼吸が止まってしまうからです。
昨日私が皇子様のところに着いた時には、既に皇子様の呼吸があり、脈拍は安定しておりました。また、口から大量に入ったと思われる水も出された状態になっておりました。それはこの女人が皇子様の呼吸を起こし、口から入った水を出してくれていたからです。
もし何もせずに私の到着を待っていたとしたら、おそらく皇子様の呼吸は戻らなかったことでしょう」
医官長は全員に分かるように、ゆっくりと丁寧に説明をした。
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