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「医官長、すぐに実桜の手当てをしてもらえるか」
ヨンウォンは沈痛な面持ちで痛々しい実桜の姿を見ながら、医官長にそう告げた。
「かしこまりました。皇子様」
医官長からの返事を聞いたヨンウォンは、今度はソンヨルに指示を出した。
「ソンヨル、実桜を私の部屋へ連れて行ってくれ」
「はい、あの…、皇子様のお部屋にですか?」
ヨンウォンが実桜を医務室ではなく、自分の部屋に連れて行くよう指示したので、ソンヨルは思わず聞き返してしまった。
「そうだ。私の部屋だ。私もすぐに行く」
「はい。かしこまりました」
ヨンウォンに返事をしたソンヨルは、実桜の身体に縛られた縄を外し始めた。
目を背けてしまいたくなるほどに実桜の腕や足は真っ赤に腫れあがり、多くの血が滲んでいる。
「実桜どの、すぐに医官長に手当をしていただきますので、もう少しだけ我慢してください」
ソンヨルは意識を失っている実桜にそう呟くと、赤く腫れあがり傷ついた実桜の身体をゆっくりと優しく抱きかかえ、ヨンウォンの部屋へと向かった。
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