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「あの…、さっきひいたおみくじで『波瀾の兆』って書いてあるんですけど、これって何か悪いことが起こるっていう意味なんでしょうか?」
顔を曇らせながら巫女さんの顔を窺うようにじっと見つめる。
不安と緊張から身体が震えそうになり、私は両手の拳をギュッと握った。
だけど。
巫女さんはそんな私の不安を取り除くかのようにとても優しい表情を浮かべて口を開いた。
「いいえ。そうではありません。この縁結びみくじというのは恋愛だけではなくて、いろいろな方とのご縁も含まれます。波瀾というのは一見悪い意味のように取れますが、これは悪い意味ではなくて、これからいろいろな方と出会い、今までとは違った変化が訪れるということですよ」
「そうなんですか? 悪いことが起こるとかじゃないんですか? あーよかったぁ…」
私は大きく息を吐きながら、少し笑顔を浮かべて巫女さんに小さく頭を下げた。
そんな私を見て、巫女さんはニッコリと微笑んでいる。
巫女さんの言葉に安心したせいか、雲がかかっていた心に、段々と太陽が顔を出し始める。
身体がじんわりと熱を持ち始め、次第に恥ずかしさが込み上げてきた。
あー、なんか私恥ずかしい。
おみくじの内容であんなに固まってしまうなんて。
冷静になればなるほど、今度は恥ずかしさでいっぱいになる。
私は恥ずかしさを悟られないように巫女さんから慌てて視線を横にそらした。
すると、授与所の台の上にいろんなお守りやお札などが置かれているのが目に入ってきた。
自然と足がその台の前へと近づいていく。
そこには、定番の『縁結び』と刺繍された四角いお守りや、桜守神社と書かれたお札、花の形をしたお守りや鈴が入ったお守りなどが並んでいた。
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