想定外のキス

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「実桜、もう起き上がれるのか? 大丈夫なのか?」 心配そうな顔で私を見る。 そして、腕や足に薬草を当てた布がたくさん巻かれ、切れて血が滲む私の身体を見て、なんとも辛そうに顔を歪めた。 「はい。大丈夫です。皇子様」 私は右手で反対の肩をかばうようにして小さく頷いた。 すると皇子はまっすぐに私の顔を見つめ、深く頭を下げた。 「私のせいで、こんな目に合わせてしまい、本当に申し訳ない…」 「だ、大丈夫です。皇子様…。私こそ助けていただいて本当にありがとうございました」 深く頭を下げて謝るヨンウォン皇子の姿にびっくりしながらも、私は助けてもらったお礼を言った。 「こんな風になる前に、もっと早く助けてやるべきだったのに…。本当に申し訳ない」 そう言いながらヨンウォン皇子は辛そうに顔を歪めたまま、さらに頭を下げた。 「本当にもう大丈夫ですから…。それより皇子様の身体は…大丈夫なのですか?」 私は頭を下げるヨンウォン皇子を緩やかに両手で制しながら、皇子の身体のことを訪ねた。 「私はもう何ともない。大丈夫だ」 「皇女様は? サラ皇女様も大丈夫ですか?」 「ああ。サラも心配ない。サラは気を失っただけなので、すぐに元気になったようだ」 「それならよかった…」 私はほっとしながら小さく微笑んだ。 そんな微笑む私にヨンウォン皇子は、 「そんな他人のことなど心配していないで、もっと自分の身体のことを心配しろ」 と、私の頭に軽く触れ、少し呆れた顔をした。 そしてすぐさま柔らかい笑顔になり、ニッコリと微笑んだ。 ドキンッー。 心臓が大きな音を立てる。 (わっ、すっごい綺麗な顔…) うっとりと見つめてしまいそうになるほど艶っぽい笑顔だ。 私は慌てて視線をそらし、そのまま視線を遮るようにゆっくりと自分の片手を頭に添えた。 皇子に触れられたところがなんだか熱い。 「そ、そうですね…。でも、医官長様が元通りになるって言ってくださいましたし、しばらくは動けないけどそのうち元気になりますし…」 心なしか自分の声が上擦っている。 「元通りに治ると言っても、治るまでまだかなり時間がかかるのだぞ」 「はい…。分かってます…」 私はドキンドキンと波打つ心臓の音を感じながら、目を伏せて下を向いた。
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