4078人が本棚に入れています
本棚に追加
「実桜、もう起き上がれるのか? 大丈夫なのか?」
心配そうな顔で私を見る。
そして、腕や足に薬草を当てた布がたくさん巻かれ、切れて血が滲む私の身体を見て、なんとも辛そうに顔を歪めた。
「はい。大丈夫です。皇子様」
私は右手で反対の肩をかばうようにして小さく頷いた。
すると皇子はまっすぐに私の顔を見つめ、深く頭を下げた。
「私のせいで、こんな目に合わせてしまい、本当に申し訳ない…」
「だ、大丈夫です。皇子様…。私こそ助けていただいて本当にありがとうございました」
深く頭を下げて謝るヨンウォン皇子の姿にびっくりしながらも、私は助けてもらったお礼を言った。
「こんな風になる前に、もっと早く助けてやるべきだったのに…。本当に申し訳ない」
そう言いながらヨンウォン皇子は辛そうに顔を歪めたまま、さらに頭を下げた。
「本当にもう大丈夫ですから…。それより皇子様の身体は…大丈夫なのですか?」
私は頭を下げるヨンウォン皇子を緩やかに両手で制しながら、皇子の身体のことを訪ねた。
「私はもう何ともない。大丈夫だ」
「皇女様は? サラ皇女様も大丈夫ですか?」
「ああ。サラも心配ない。サラは気を失っただけなので、すぐに元気になったようだ」
「それならよかった…」
私はほっとしながら小さく微笑んだ。
そんな微笑む私にヨンウォン皇子は、
「そんな他人のことなど心配していないで、もっと自分の身体のことを心配しろ」
と、私の頭に軽く触れ、少し呆れた顔をした。
そしてすぐさま柔らかい笑顔になり、ニッコリと微笑んだ。
ドキンッー。
心臓が大きな音を立てる。
(わっ、すっごい綺麗な顔…)
うっとりと見つめてしまいそうになるほど艶っぽい笑顔だ。
私は慌てて視線をそらし、そのまま視線を遮るようにゆっくりと自分の片手を頭に添えた。
皇子に触れられたところがなんだか熱い。
「そ、そうですね…。でも、医官長様が元通りになるって言ってくださいましたし、しばらくは動けないけどそのうち元気になりますし…」
心なしか自分の声が上擦っている。
「元通りに治ると言っても、治るまでまだかなり時間がかかるのだぞ」
「はい…。分かってます…」
私はドキンドキンと波打つ心臓の音を感じながら、目を伏せて下を向いた。
最初のコメントを投稿しよう!