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「いたっ…」
急に身体を動かしたせいで、腕や肩に激痛が走った。
ズキーンと響くその痛みに身体から力が抜け、体勢が崩れる。
そのまま後ろに倒れそうになった私を、ヨンウォン皇子は咄嗟に抱き留めてくれた。
「大丈夫か?」
皇子が心配そうに私の顔を覗き込んでいるけれど、身体が痛くてすぐに答えることができない。
私は皇子の腕の中に身体を預けたまま、顔をしかめて小さく頷いた。
そしてなんとか元の体勢に戻ろうと、痛みを我慢しながら床に片手をついて身体に力を入れた。
「痛たたた…」
また身体にズキーンと激痛が走る。
「実桜、身体が痛いのだから無理をするな。このままこうしていろ」
ヨンウォン皇子が腕の中にいる私を見つめながら優しく言う。
皇子にまっすぐな視線を向けられ、私の鼓動は速度を落とすことなく、猛スピードのままどんどん加速されていく。
-ドキンドキンドキンドキン-
下から見上げる皇子の顔はまた一段と色気があり、妖艶で美しかった。
透明感のある綺麗な白い肌に、シャープな顎のライン、さくらんぼのような小さくて色っぽい唇。
思わず手を伸ばして触れてしまいそうで、私は急いで目をそらした。
そして、とにかくこの状態から抜け出そうと考えた私は、再び皇子に視線を向けて口を開いた。
「お、皇子様…」
「なんだ?」
「わ、私、重いから…。このままだと皇子様の腕が痛くなります」
そう言った私に皇子は、
「私にはこのくらいの重さが支えられぬと言うのか?」
と、心外だというような目で私を見た。
「そっ、そうじゃなくて…」
「なら、おとなしくしていろ」
(おとなしくしていろって言われたって…)
(こんなドキドキする状態でおとなしくしていられるわけないじゃん…)
私がこんなにも緊張感に襲われているというのに、ヨンウォン皇子は余裕な顔をして口角を上げ、楽しそうに微笑んでいる。
(もう、人の気も知らないで!)
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