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(どうにか早くこの状態から抜け出さないと…)
私は頭の中でグルグルと考えを巡らせる。
(あっ、そうだ! いいこと思いついた!)
「あっ、あの…、皇子様」
「今度はなんだ?」
「なんかこうしてるとさっきより身体が痛くなってきて…。いたっ、痛い…、痛いんです…。申し訳ないのですが、起こしてもらえませんか…?」
眉をひそめて泣きそうな顔をしながら皇子にお願いをする。
(この演技なら皇子もきっと起こしてくれるはず…)
するとヨンウォン皇子は、
「なに? この方が身体が痛むのか? それは申し訳ない。ではこのまま身体を起こすぞ」
と、本当に申し訳なさそうに素直に謝り、ゆっくりと自分の方へ私の身体を近づけて起こしはじめた。
(あー、よかった。やっとこの状態から解放される…)
ほっと胸を撫で下ろしながら、私は心の中で『ごめんなさい…皇子』と謝っていた。
だけど。
身体を起こされるにつれ、妖艶なヨンウォン皇子の顔が段々と私に近づいてくる。
(えっー。えっー。皇子の顔が…)
私は思わずギュッと目を瞑った。
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