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「あっ…、はい。わかりました」
私は小さく頷く。
「大丈夫ですか? 立てますか?」
「はい。大丈夫です」
ミンジュンさんにそう返事をして立とうとしたものの、腫れあがった足にはまだ力が入らなかったようで、私はよろけてしまった。
「痛っ…」
ミンジュンさんがすぐに私の身体を抱きかかえるようにして支える。
「すっ、すみません。ミンジュンさん」
「いえ。大丈夫ですよ。では私が支えていますので、もう一度立てますか?」
ミンジュンさんは変わらず優しい微笑みを私に向ける。
今度はミンジュンさんの肩に手を置いて立とうとしてみるが、力を入れるとどうしても痛くて立てない。
「ミンジュンさん、すみません。少し待ってもらえますか?」
私は痛さで顔を歪めながら、痛みを我慢してもう一度立ち上がろうと力を入れた。
「んっっっ…。痛っ…」
なんとか踏ん張って立ち上がろうとするものの、やっぱり痛くて立ち上がれない。
「実桜どの、無理をさせてしまいましてすみません。では私の背中に乗ってくださいますか? 駕籠までお連れしますので」
立つことができない私の前に、ミンジュンさんは背中を向けてかがんだ。
そんな私たちの様子を黙って見ていたヨンウォン皇子が、横から口をはさんできた。
「ミンジュン、実桜の身体はかなり腫れているし、切り傷もたくさんある。医官長が言うには、身体に当ててある薬草は毎日変えないといけないうえに、当面の間は身体を休ませなければならないそうだ。今はまだ立つこともままならないようだし、しばらくここで医官長に治療してもらってはどうだ?」
皇子は眉をひそめながら心配そうな顔をして、ミンジュンさんと私の顔を交互に見る。
「ヨンウォン、心配しなくても大丈夫だ。医官にはボクシム先生の屋敷の方へ来ていただくようにするから毎日薬草は変えてもらうし、きちんと身体も休ませるつもりだ。それにボクシム先生は薬師でもあるし、屋敷にはミランさんもいる。ここはヨンウォンの部屋だから、実桜どのがここにずっといるわけにはいかないだろう」
「そ、それはそうなのだが」
ミンジュンさんはヨンウォン皇子を安心させるように穏やかな表情でそう告げると、私を背負い、駕籠まで運んでくれた。
私はヨンウォン皇子にお礼を言って、ミンジュンさんと一緒に王宮を後にした。
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