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恋が始まる瞬間
あの過酷な尋問から半月が過ぎ、私の身体は徐々に回復してきていた。
ミンジュンさんに連れられて王宮から戻ってきた私を出迎えてくれたボクシム先生とミランさんは、肌がどす黒く変化し、腕や足にたくさんの布が巻かれた私の姿を見て、涙を流しながら優しく抱きしめてくれた。
そしてミランさんは、自由に動くことができない私を休みなく手厚く看病してくれた。
また、ミンジュンさんも絶えず様子を見に来てくれて、医官の人たちも毎日薬草の交換に来てくれた。
戻ってきてからの数日は身体の腫れも引かず、痛くて寝ることさえも辛くて仕方がなかったけれど、日にちとともに痛みも少しずつ和らぎ、どす黒かった腕や足の色もほんの少しだけど薄くなってきていた。
切り傷もだいぶ治ってき始め、完全に治るにはまだしばらく時間はかかりそうだけど、やっと自分だけの力で動けるようになった。
日常生活ができるようになった私は、久しぶりに屋敷の庭に出て陽射しを浴びていた。
(あー、久しぶりに青い空を見たなー)
(すっごい気持ちいいー)
まだ少し身体の痛みが残っているので、箒で庭を掃いたり水をまいたりはできないけれど、久しぶりに浴びる陽射しは眩しくてとても気持ちが良かった。
私が空を見ながら陽射しを浴びていると、遠くからヨンウォン皇子が屋敷の方へとやってくるのが見えた。
いつもならソンヨルさんと一緒に来る皇子なのに、今日は1人のうえ、珍しく馬に乗っている。
「皇子様、お久しぶりです」
私は屋敷へとやってきたヨンウォン皇子の顔を見て、頭を下げた。
皇子は乗ってきた馬からスルリと降りたかと思うと、途端に顔を曇らせ、憂わしげな表情を浮かべて私の顔を覗き込んだ。
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