4029人が本棚に入れています
本棚に追加
/208ページ
どのお守りも何色かの色が用意されていて、とても華やかだ。
その中で、なんともお守りらしくない、茶色い革紐に淡い黄緑色の花がついたネックレスのようなものがあった。
パステル系の美しい黄緑色で、可愛らしい花の形をしている。
「すみません。これもお守りですか?」
私はそのネックレスのようなものを指して巫女さんに尋ねた。
「はい。こちらは首からかけて身につけることができる翠玉のパワーストーンのお守りです」
「すいぎょく?」
「はい。翠玉とはエメラルドのことで、別名『愛の石』と呼ばれているんですよ」
巫女さんは先ほどと変わらず柔らかい笑みを浮かべながら丁寧に説明してくれる。
パワーストーンとか愛の石という言葉に、なんかそのお守りがとてもご利益があるように見えてくる。
「ちなみにこれは何のお花ですか?」
私はその「愛の石」と言われた花の形を見ながら、再び巫女さんに尋ねた。
「こちらは桜の花になります」
「えっ、桜ですか? ピンクじゃなくて黄緑色なのに?」
驚いて目をパチクリさせた私に、
「これは御衣黄という黄緑色の花を咲かせる桜なんですよ」
と言って巫女さんは静かに頷いた。
「ぎょいこう?」
「はい。御衣黄です。一般的に桜と言えば薄紅色の桜をイメージされるのですが、御衣黄という黄緑色の桜もありまして、御衣黄の花言葉が『永遠の愛』いうことで、永遠に愛する人と結ばれるように願いが込められているお守りなんです」
今まで見たことないけど、黄緑色の桜があるなんて初めて聞いた。
そんな桜があるんだ。
最初のコメントを投稿しよう!