恋が始まる瞬間

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「もう歩いても大丈夫なのか? 身体はどんな具合だ?」 「だいぶ良くなりました。黒かった腕や足の色も少しだけ薄くなってきました」 私は袖をまくり「ほらっ」と皇子に見せるように腕を伸ばした。 「ああ、薄くはなってきているが、まだほんの少しではないか。医官長がゆっくり身体を休ませろと言っておったであろう。少し良くなったからと言って休まないでいると、治るものもなかなか治らないぞ」 「そうなんですけど。でもずっと部屋の中にいるのも飽きたし。それにこんなきれいな青空見るの久しぶりだったから。ねっ、すっごいきれいな青空ですよー」 私は皇子の気をそらすようにしてニコッと笑い、空を指さした。 「その気持ちはわからなくもないが、でもきちんと治るまではおとなしくしておくことだ」 「だってずっと動けなくて部屋の中で寝てたんですよ。何にもすることないし、すごーく退屈だったんです。だから久しぶりに外の空気も吸いたいし、陽射しも浴びたいし」 私は胸の前で両手を握ってガッツポーズを作り、ヨンウォン皇子に向けて元気になったアピールをした。 皇子はそんな私を見て、目を細めて微笑んでいた。 ***** ヨンウォンは元気になった実桜の姿と明るい笑顔を見て、優しく目を細め、ほっとしていた。 実桜をボクシムの屋敷へと帰した後、実桜の容態が心配で密かにソンヨルに様子を見に行かせていた。 ソンヨルから少しずつ良くなっていると経過報告は受けていたのだが、実際に自分の目で確認するまでは安心できなかった。 本当はもっと早くに実桜の様子を自分の目で確認したかったのだが、ちょうど隣国から使節団が来訪してきており、その出迎えや政務に追われ、やっと今日、こうして実桜の様子を見に来ることができたのだ。 こんな風に自分の目の前で元気に笑い、実桜の楽しそうな表情を確認することができ、燻っていたヨンウォン自身の気持ちも、今日の天気と同じように晴れやかになっていた。
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