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私は恐る恐る馬の鞍に手を置き、言われた通りに皇子が指をさした馬の鐙に左足を掛けた。
その瞬間、皇子はそのままヒョイと私を抱きかかえた。
「きゃあー」
急に抱きかかえられた私は驚いて大声を上げる。
皇子はそんなことはお構いなしで、無言のまま自分が乗っている前に私を乗せた。
そして右手で手綱を持ち、左手は後ろから私を抱きしめると、馬を走らせ始めた。
「きゃあー、怖いー。皇子様降ろしてー」
私が悲鳴を上げ続けているにも関わらず、馬は軽快にどんどんスピードをあげながら走っていく。
まるで安全ベルトで固定されていないジェットコースターのようだ。
「落ちるー。死んじゃうー。降ろしてー」
あまりのスピードに半泣きになりながら、後ろにいる皇子に向けて叫び続ける。
だけど、皇子は馬のスピードを緩めるどころかさらにスピードを上げた。
「ほんとに落ちちゃうー。降ろしてー」
もう生きた心地がしなくて、怖すぎて私はギュッと目を瞑った。
「落ちないから大丈夫だ。私が後ろから支えている」
急に耳元で囁かれたヨンウォン皇子の艶っぽい声にビクッと身体が反応して、あやうくバランスを崩しそうになる。
「怖いなら私の左手をしっかりと掴んでいろ」
後ろから皇子にそう囁かれ、私は落ちないように両手で皇子の左腕をしっかりと掴んだ。
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