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「それより皇子様、ここから見る景色はもっと素敵ですねー」
再びラベンダー畑の方へ視線を移した私は、話題を変えるように皇子に話しかけた。
「そうだな。とても壮観だな」
「いつかこういうとこでデートしてみたいなー」
一面に咲き誇るラベンダーを見ながら、私はまだ一度もしたことがないデートの妄想を繰り広げる。
こんな景色のいいお花畑で大好きな人と一緒に手を繋いで歩いてみたいな。
それでソフトクリーム買って、一緒にベンチに座って食べて、クリームが口についてるよって言って拭いてあげたりして…。
ありがとうって言われて見つめられて、キスとかされちゃったりして…。
きゃー。そんなことされたらどうしよう…。
って言うか、めちゃくちゃ恥ずかしい。
妄想が広がりすぎて、思わず両手で顔を隠す。
こんなこと言ったらまた優里に大笑いされそう。
あっ、そういえば優里、元気なのかな。
パパもママもきっとすっごく心配してるよね。
パパとママに会いたい。
急に寂しさが込み上げてきて涙が出てきそうになり、グッと我慢する。
喉の奥がツーンと痛くなった。
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