恋が始まる瞬間

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ヨンウォンはラベンダー畑に視線を向けたまま、実桜と出逢ってからのことを思い出していた。 市場でごろつきに襲われそうになったところを助けてやったのに、皇子のくせに人間としての基本がなってないと泣きながら反論してきたり。 かと思えば、簪屋で目を輝かせながら嬉しそうに簪を見ていたり。 また、医官長も知らない方法で自分を助けてくれ、そのためにあんなひどい目にあったにもかかわらず、文句ひとつ言うこともしない。 馬に乗せると降ろせと言ってキャーキャー叫び、馬から降りてこのラベンダー畑を見ると、喜びいっぱいの笑顔を自分に向ける。 実桜の笑った顔はラベンダーの花の美しさと遜色ないほど輝いて見えた。 ふと隣に視線を向けると、ニヤついたり顔を赤くしたり両手で顔を隠したり、今度はなぜか少し悲しそうな顔をしている。 こんなにもコロコロと表情が変わる実桜を見ていると、次はどんな表情を見せてくれるのだろうと楽しみになってくる。 そんな実桜が可愛らしく思えていた。 ヨンウォンは思わずプッと吹き出しながら、実桜に話しかけた。
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