恋が始まる瞬間

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「デート? デートとはどういうものだ?」 皇子からの質問に私はふっと我に返り、皇子の方へ振り向く。 「あっ、デート…。そっか…。デートとは彼氏と2人で出かけること…かな」 「んっ? 彼氏とはなんだ?」 「あっ、えっと、好きな人のことです」 「それは私とは不服だということか?」 「そ、そうじゃなくて…。す、好きな人とだったらもっとうれしいのかなーと思って…」 私は慌てて首を左右に振りながら否定した。 皇子はそんな私を横目でチラッと見たかと思うと、視線をラベンダー畑の方に戻し、そのまま無言になった。 「お、皇子様?」 横から無言になった皇子の顔を覗き込む。 だけど皇子は私の方を向くこともせず、遠くを見ながら難しい顔をしている。 (も、もしかして、怒らせたのかな?) (皇子が嫌だとか、そういう意味で言ったんじゃないんだけど…) 「べ、別に皇子様が不服とか、そういう意味じゃないんです。皇子様と一緒でもすっごく楽しいしうれしいです。こんな素敵な場所に連れてきてくださってすごく感謝してます」 皇子と一緒にいて楽しいと説明するものの、皇子は私にチラリと視線を向けただけで、再びラベンダー畑の方へ視線を戻した。 そして、ぼそりと呟いた。 「皇子様と一緒…でも?」 最後の 『でも』 という言葉が、心なしか強調されているような気がする。 「えっ、あっ、いや、あのー、そうじゃなくて…。皇子様と一緒に来れてすっごく楽しいんです。これはほんとです」 私はあわあわと両手を振りながら必死で説明する。 だけど皇子は私の方に視線を向けてはくれなかった。 (あー、どうしよう…) (ほんとに怒らせちゃったよね) (謝った方がいいかな…) 皇子の顔色をチラチラと窺いながらどうしようかと考えていると、ヨンウォン皇子が視線を前に向けたまま呟くように口を開いた。
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