4075人が本棚に入れています
本棚に追加
「デート? デートとはどういうものだ?」
皇子からの質問に私はふっと我に返り、皇子の方へ振り向く。
「あっ、デート…。そっか…。デートとは彼氏と2人で出かけること…かな」
「んっ? 彼氏とはなんだ?」
「あっ、えっと、好きな人のことです」
「それは私とは不服だということか?」
「そ、そうじゃなくて…。す、好きな人とだったらもっとうれしいのかなーと思って…」
私は慌てて首を左右に振りながら否定した。
皇子はそんな私を横目でチラッと見たかと思うと、視線をラベンダー畑の方に戻し、そのまま無言になった。
「お、皇子様?」
横から無言になった皇子の顔を覗き込む。
だけど皇子は私の方を向くこともせず、遠くを見ながら難しい顔をしている。
(も、もしかして、怒らせたのかな?)
(皇子が嫌だとか、そういう意味で言ったんじゃないんだけど…)
「べ、別に皇子様が不服とか、そういう意味じゃないんです。皇子様と一緒でもすっごく楽しいしうれしいです。こんな素敵な場所に連れてきてくださってすごく感謝してます」
皇子と一緒にいて楽しいと説明するものの、皇子は私にチラリと視線を向けただけで、再びラベンダー畑の方へ視線を戻した。
そして、ぼそりと呟いた。
「皇子様と一緒…でも?」
最後の 『でも』 という言葉が、心なしか強調されているような気がする。
「えっ、あっ、いや、あのー、そうじゃなくて…。皇子様と一緒に来れてすっごく楽しいんです。これはほんとです」
私はあわあわと両手を振りながら必死で説明する。
だけど皇子は私の方に視線を向けてはくれなかった。
(あー、どうしよう…)
(ほんとに怒らせちゃったよね)
(謝った方がいいかな…)
皇子の顔色をチラチラと窺いながらどうしようかと考えていると、ヨンウォン皇子が視線を前に向けたまま呟くように口を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!