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私たちの思いとは裏腹に、雨は落ち着くどころかますます激しさを増していった。
大粒の雨が地面を激しく叩きつけ、少し遠くに聞こえていた雷の音が次第に大きくなり始めた。
ゴロゴロと雷の音が鳴り響く中、突然フラッシュが焚かれたかのような眩い光がピカッと光った。
「わぁー、光ったー」
不気味な眩い光に、私は一歩後ずさる。
そして数秒後、地響きのような音が鳴り響いた。
ドォォォーーーーン
「きゃあー」
あまりの凄まじい音に驚いた私はその場にしゃがみ込んだ。
下を向きギュッと目を瞑り、両手で自分の耳を押さえる。
恐怖で自然と身体が震えてくる。
「怖がらなくても大丈夫だ」
ヨンウォン皇子はそう言うと私の隣に座り、雷の音が聞こえないように自分の衣装で私の耳を塞ぐようにして抱き寄せた。
「おっ、皇子様…」
またまた皇子に抱き寄せられた私は、びっくりして慌てて離れようとした。
「雷の音が嫌なのであろう。夏雲が通り過ぎるまで音が聞こえないように耳を塞いでおいてやるから安心しろ」
「…………」
抱き寄せるヨンウォン皇子の腕の力が強くなるのと比例して、私の心臓もバクバクバクバクと激しく鼓動を打ち始めている。
どうやらこの心臓は外の雷の恐怖以上に、今のこの状態に激しく反応しているようだ。
男の人と手さえつないだことないのに、いきなり2度も抱き寄せられるなんて。
恋も恋愛も未経験な私には、こんな時どうしたらいいのか全く分からない。
(どうしよう。すっごい心臓がドキドキしてる…)
(皇子に聞こえちゃう…)
私は心臓の音が皇子に聞こえないように両手でギュッと自分の胸を押さえ、皇子に抱き寄せられたまま、雷が通り過ぎるのをただひたすら待った。
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