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ヨンウォンもまた、腕の中にいる実桜の存在に鼓動が波打つのを感じながら、自分の行動にびっくりしていた。
ヨンウォンはこれまで女人とはあまり関わらないようにして生きてきた。
それは別に女人が嫌だからというわけではなく、第二皇子という王宮での自分の立場を考えてのことだった。
皇族ともなればいろいろな人間が近付いてくる。
現にヨンウォンにも既に多数の婚姻話がきていた。
皇子の婚姻となると、皇子の相手としてふさわしい家柄であり、権力や財力が十分にある家の娘が選ばれるため、必然的に豪族の娘が候補にあがる。
そしてどの豪族の娘と婚姻したとしても、さまざまな利害関係が生じてくるのだ。
もしその豪族が国の中でも特に力を持っている豪族であれば、自分たちの権力を更に拡大しようと画策をするかもしれない。
もしそのようなことになれば、皇室の中で権力をめぐり、争いが起こりかねないのだ。
それが王宮というところであり、今までの歴史なのだ。
そういった勢力争いをさけるため、なるべく女人とは関わらないようにしてきた。
婚姻をしないというのもそのためだった。
ヨンウォンは自分が女人に対してこのようなことをするなんて考えられなかったが、なぜか心の中はとても満たされていた。
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