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雨は変わらず激しく降り続いているが、雷の音が少し遠くなっていった。
私はゆっくりとヨンウォン皇子から自分の身体を離した。
「雷の音…、だいぶ小さくなりましたね」
恥ずかしさと気まずさから声が少し上擦ってしまう。
「ああそうだな。だが雨はまだ相変わらずだ。もう少しここで待たねばな」
ヨンウォン皇子は雨の強さと空の状態を見ながら静かにそう言い、それ以上何も話すことはなかった。
ザーザーと雨の音だけが聞こえ、時間だけが流れていく。
シーンとした空間がどことなく落ち着かず、緊張感に包まれる。
私はこの無言の時間に耐えられず、ためらいがちに口を開いた。
「そういえば…」
そう言いかけて、聞いてもいいものか迷い、やっぱり口を閉じる。
「なんだ?」
「やっぱりいいです」
「言いかけてやめるとはなんだ? 言いたいことがあるなら言ってみろ」
皇子はフッと笑みを浮かべて私を見た。
「あの…。皇子様はなぜ婚姻をされないのですか?」
「…………」
皇子はビクッと少し驚いたように目を見開いた。
「初めて皇子様を見たとき『誰とも婚姻する気はない』って女の人に言われてて。それにソンヨルさんもそんなこと言われてたから」
ヨンウォン皇子は小さく息を吐いた。
そして遠くを見つめ、まるで独り言を漏らすかのように淡々と話し始めた。
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