5人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
目覚めると、死んだはずの彼氏がいた。
「!?」
「恵、おはよう! 相変わらずの寝相だね!」
爽やかな笑みを讃え、私の上に跨っている。しかし、不思議なことに重みはなかった。
「……えっ、いや、えっ?」
朝一番のサプライズに、脳内真っ白だ。
数秒間、笑顔の彼と向き合ったまま絶句して。更に数秒、やっと現状を把握する。
そうか、これは夢か。それなら辻褄が合う。そうか、それなら寝直して──。
布団を被り直そうとして、再び声が降ってきた。
「あっ、目覚ましめっちゃ鳴ってたけど大丈夫? 今日って高校は……」
その軽率な声に釣られ、死んだ目で時計を見てみる。時刻は、登校予定時間を過ぎていた。
「……大丈夫じゃない! ヤバいと思ったなら起こして!」
勢いよくベッドから飛び出して、制服を取り出すためクローゼットの方へ翻る。
その流れで小指を強打し、そこでやっと、ここが現実世界だと知覚した。
最初のコメントを投稿しよう!