しがないモノ書きになるまで。

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どうして、人は一つの物事を枠に嵌めてしまうのだろう。 概念だとか、 常識だとか、 世間体だとか… 誰しも自由に空想出来る権利を持っているし、 誰しも思いを馳せることについて邪魔などされない筈なのに。 そうは思いながらも 気づいたときには、私が日夜繰り広げている 物語りは他の人にとっては、 気持ち悪いとか 変わってる、とか そんな風に取られるようになっていた。 小さなときは、真っ白な画用紙に黄色の空を描いても、茶色の空を描いても許されていたのに いつから、人は青い空を描かなければいけなくなったのだろうか。 そうやって思うことは、多々あっても それを主張することは、今の社会では輪を乱すことにしかならない、と気づいてからは 相手の調子に合わせるようになった。 自分の意志などないですよ、 それはまるで何色にも順応してしまうカメレオンのような生活だった。 いつか、こんな感覚を誰かと共有出来たらな… そう思って20数年が過ぎた。 満員電車に揺られ、吐き出されるようにホームに置き去りにされる私は すっかり社会に順応してしまっていた。 時折コンコンコンと、誰かが心の扉をノックして 「本当にそれでいいの?!」と呼び止められても気づかないフリをしていた。 それじゃダメだと気づいたのは、会社で社会不適合者の判をつかれたときだった。 いや、寧ろ元々社会に不適合していた私は 睡眠障害になって、ようやく産業医に判を押してもらえたのかもしれない。 そうやってある意味自由になれた私は、 社会に馴染むことをやめた。 だって、人生は一度キリでしょ? グタグタ考えてる時間が勿体無いじゃない。 そうして私は、しがないモノ書きになった。 これは、そんな私の小さな日常の話し。
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