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「ヨシッ」と思ったのも束の間、今度はその女の子に両手で、胸を押された。
『これだから女ってのは・・・』
窓枠を超えた僕に青空が一瞬だけ見え、次にプールが見えた。
『まずい、頭から落ちている』
とっさに両手で頭を抱えるが、どうしようもない。
昼休みで誰もいないプールにザブンと大きな音が鳴り響く。
良治が、ゴンという衝撃と音で目を開けると、水面とそのうえに続く空が見える。
水が赤く濁っていく。良治の血だ。
そのとき、誰かの手が水面から差し入れられる。
良治は薄れゆく意識の中で、その手を掴もうとするのだが。
◇ ◇ ◇
目が覚めるとそこには、河童がいた。
緑色の長い髪、二重まぶたの大きい目、少し低めだがこぢんまりとして可愛い鼻、大きめだが口角が上がって美しい口。だが身体の後ろ半分は緑色の鱗に覆われており、亀のような甲羅を背負って、頭のうえには皿がある。どうみても河童だ。
ただ、全裸なので、小ぶりだが形の良い乳房には目のやり場に少し困る。
良治は周りを見渡そうとするが、床を含めた全体に白いもやがかかっていてどこだか分からない。すると河童が喋りかけてきた。
「私は水の女神アグアです。」
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